ニュースレターは紙面を作成する前に、コンセプトを決めておくことが重要です。コンセプトのないままに作られたニュースレターは、読者に何を伝えたいのか分からない、つまり読者の心に届かないものとなってしまいます。
本記事では、オモシロホンポの代表を務める“かわけん”こと川上 健太郎が、ニュースレターのコンセプトについて自社事例とともに解説します。
ニュースレターを軸に広告・広報の制作を通じて、全体の99.7%を占めている中小企業の仕事をオモシロく演出することで日本を元気にすることをミッションとする会社。
これまで、34都道府県の100業種を超えるさまざまな企業のニュースレターを累計1,300号以上手がけてきました。
コンセプトのないニュースレターは、「行き先のない船」
前回の記事では、ニュースレターの作成においてまずやるべきことは読者の設定だと事例とともに解説しました。
これを読んで、「よし、読者を決めたし、さっそくニュースレターを書くぞ!」と盛り上がっていたら、ちょっとお待ちください! もうひとつ決めておくべきことがあります。
それは、ニュースレターの「コンセプト」です。
ニュースレターのコンセプトとは、自社に対して読者がどんなイメージを持ってほしいか、読者からどんな風に見られたいかなどを具体的な言葉に落とし込んだもののこと。コンセプトのないニュースレターはいわば行き先のない船であり、そこに乗った読者はどこにも辿り着くことができない。つまり、読者の心には何も届かないということです。
したがって、読者を乗せたニュースレターという船をどこへ導きたいのか、つまり、自社に対してどんなイメージを持ってほしいのかという点を明確にしておくことが肝心だというわけです。
【事例紹介】成果を上げているニュースレターのコンセプトは?
それでは、さっそくニュースレターのコンセプトを決めましょう!……と言っても、実際にはなかなか思いつかないもの。そこで、ここではオモシロホンポがニュースレター制作に携わっている企業の事例を紹介します。「なぜそのコンセプトにしたのか?」という理由も含めて、参考にしてみてくださいね。
従兄弟のような会計事務所を表現する【税理士法人クリアー】
埼玉県にある税理士法人クリアーさんは、事業柄、近寄りがたいとか気後れするといったイメージを持たれやすいことが悩みでした。そこで、相談しやすいちょっと年上の頼れるお兄さん・お姉さん的存在を目指そう! ということで「従兄弟のような会計事務所」というコンセプトに辿り着きました。
「かっこいい大人になろう!」をテーマにする名備運輸が、日々奮闘している様々なことをレポートする【名備運輸】
愛知県の運送会社である名備運輸さんは、このコンセプト通りに社員がさまざまなことにチャレンジしている様子をニュースレターを通じて発信。人にフォーカスし、元気のある会社だというイメージを読者に持ってもらいたいと考えています。
ユニフォームを通し、ビジネスシーンにもっと笑顔を!【東京ユニフォーム】
ユニフォームの企画や製造、販売を手がける東京ユニフォームさんはとにかく活気に溢れていて、仕事も遊びもどちらも一生懸命な会社。そのイメージをそのまま伝えることで、硬くなりがちなビジネスシーンをちょっとほぐしたい、みんなに温かい気持ちになってほしいという思いからこのコンセプトに決めました。
メニューだけでは伝えきれない“想い”をお届けする【ヨシケイ福井】
食材宅配サービスを展開するヨシケイ福井さんでは、定期的にメニューや献立のカタログをお客さまに届けています。しかし、それだけでは自社ならではの食材に対するこだわりや安心・安全のための取り組みについて伝えられない……。じゃあニュースレターで発信しよう! ということで、このコンセプトとなりました
「カーテンひとつで日々の暮らしがちょっと楽しくなる」をお届け【カズマ】
福井県のカーテン製造会社カズマさんのコンセプトは、カーテンの可能性をもっと広く伝えたいというもの。カーテンひとつで家の雰囲気をがらりと変えられたり、暑さや寒さの対策ができたりすることを多くの人に知ってもらいたいとの思いから決めました。また、企画から販売まで一貫して自社で行い、質の高いカーテンを取り扱っていることも発信したいと考えています。
元気と進化をリアルガチで発信する【DMクラスター】
福井県でダイレクトメールの印刷から発送までを請け負うDMクラスターさんは、若い社員が活躍し、売り上げを大きく伸ばしている会社。その雰囲気をそのままニュースレターに反映させたいとの思いから、このコンセプトに辿り着きました。
“リアルガチ”とはご存知の通り、出川哲朗さんの決まり文句ですよね。その言葉通りに、日々頑張っている様子を赤裸々に発信することで、エネルギーをお裾分けできる存在になりたいという思いの元でニュースレターを作成しています。
日々の経営に潤いを【税理士法人上坂会計】
税理士法人上坂会計さんは、福井県の会計事務所として地元企業の経理業務をサポートしている一方で、新卒採用を毎年実施するなど、自社の経営や運営にも尽力しています。そういった取り組みをニュースレターを通じて発信することで、地元企業をもっと元気にしたい、経営に潤いが生まれてほしいという願いをコンセプトに込めています。
コンセプトは途中で変えてもOK! 大切なのは忘れないこと
ここまで見ていただいたように、ニュースレターのコンセプトは企業によってさまざまです。しかし、どの企業もすぐに決められたわけではなく、最初から「これだ!」というコンセプトを決められないことはめずらしくありません。
まずは、現時点で“暫定チャンピオン”となるコンセプトを据えておき、途中で違和感が生まれたりもっと良いものが見つけられたりしたらどんどん変えていきましょう。企業は日々成長・変化していくものですから、コンセプトが変わることは何も問題ありません。
ただ、大切なのはニュースレターを作るときに必ず思い出すこと。何度も作っているとつい忘れたりおざなりにしたりしがちです。コンセプトを決めたら、毎回思い出しながら作っていくことを大切にしてください。
次回の記事では、設定した読者やコンセプトが紙面作りにどう活かされているのか、実際の事例を紹介します。